染色の製作過程
染色作品見てくれた人にとてもよく聞かれるのが、一体どうやって描いているのか?ということ。
染色というと布をそのまま染料で染めることを思い浮かべるらしいです。
私もそうでした。
なので、染画の作り方を説明しておこうと思います。第一美術展で入選した「紫陽花」で説明していきます。
ただ、これはあくまで私のやり方。
最初に先生から教わった正式なやり方とはいえないかもしれません。
1.下書き
先生は下書きなどしないでいきなり書くそうですが、私はとてもじゃないけど無理。
ちゃんと作品と同じ大きさの下書きを書きます。
自分でとりためた写真をもとにデッサンしたものを見ながら大きな模造紙に書いていきます。紙の大きさが足りないときは張り合わせて作ります。
この段階で先生に一度見せてからバランスを見ながら花を描き足しました。
2.絹布へ下書き
紙に書いたものを絹の布に鉛筆で布の裏側にうつしていきます。
裏側になるので、図案も裏にして書きます。
トレース台を使います。
本来なら表側から藍花という水で落ちる染料で書いていくのが本当ですが、私はまず裏からしっかり鉛筆で下書きをうつします。
こんな感じになりました。
3.伸子張り
下書きが裏からうつせたら裏から布をピンと張ります。
凧みたいです。
4.染め
染料で薄い部分、一番絵柄的に上になる部分から色をのせていきます。
草木染めのような自然染料ではなく、普通の化学染料です。
売ってる染料の粉を煮て作ります。
裏からしか下書きしてないので、表からは全く下書きは見えてないのですが、全体を水で濡らすと下書きが浮き出てくるので、それを頼りに色をつけます。
5.藍花で表から下書き
完全に乾くと下書きが全く見えないので、ここで藍花という水で消える染料で、もうこれでいいと思う色の部分だけ書いていきます。
全く見えてないのをどうやって描くのかというと・・・・太陽の方に向けて、透かして描きます。とても見えにくいです。夜になったら電気に透かして描きますが、難しいですね〜。
6.蝋つけ
藍花で書いた部分に蝋をのせて色を止めます。
藍花でバックの部分を書きました
蝋でバックを止めてます。蝋堰出しといいます。
基本的にこの繰り返しです。
色をつけて乾かして藍花で下書き書いて、蝋をのせて・・・
本当に根気のいる仕事が続きます。
実は古新聞をあてて蝋をとっていくのですが、新聞が新しくて記事が移ってしまいました。先生と相談して葉っぱを足しでごまかしました。
6.蒸しドライ
専門のクリーニング屋さんに出して、蝋を完全に取ってもらいます。これで染料も定着するということです。
私の場合はこの後にバックの色を入れました。
バックの色を入れるには花と葉っぱの部分をまた蝋で止めてからですので、さらにまたもう1回蒸しドライに出すことになります。
そしてやっと出来上がり。
ここで気がついてもらえると思いますが、蝋をとるとずいぶん色が薄くなってしまいます。
自分では濃く書いたつもりでも、本当の色はこうやって蝋を完全に取るまではわからないのです。この感覚は数を描いていくしかないのでしょうね。